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相続とペット②

「どうしたら愛犬へ財産を遺すことが出来ますか?」

 女性(70歳)の相談は、現在では決してマイノリティなものではありません。

 現在の法制度では、概ね以下5通りの方法が考えられるでしょう。

 

1.負担付遺贈(ふたんつきいぞう)として遺言書を作成する。

2.負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)の契約をする。

3.死後の事務委任契約をする。

4.信託制度(しんたくせいど)の利用する。

5.その他

 

 いずれの方法も、あなたにとってとても信用力のある方でなければなりませんし、そのような方がいることを前提と考えていただく必要があります。

 例えば、あなたには、とても信用ができる友人(Aさん)がいるとします。Aさんは、あなたの愛犬に注ぐ愛情と生活環境を十分に理解してくれており、あなたとしても、Aさんなら愛犬の面倒をみてくれると確信しているとします。

 それを前提に、上記5つの方法を開設します。

 

1.負担付遺贈として遺言書を作成する。

 あなたは遺言書を作成します。その内容は「私はAさんに財産を遺贈する代わり、愛犬の世話をみてほしい。」とします(民法1002条1項)。

しかし、これだけでは、Aさん(受遺者といいます。)としては、何をどのようにすべきかが分かりませんよね。

ですから、具体的な指示、例えば、食事や散歩の回数、食事の好みや種類、好きな遊びやおもちゃ、持病や予防接種等について、Aさんへ事前に伝えることも大切でしょう。

2.負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)の契約をする。

 あなたは負担付遺贈契約書を作成します。

 契約書の内容は「もし私が死んだら、愛犬の世話をして下さい。その代わりに財産をAさんへ贈与します。」とします(民法553条、同法554条)。

 「死因贈与」

 あまり馴染みのない言葉だと思います。

 あなた(愛犬の飼い主)の死亡によって、贈与契約の効力が発生します。負担付死因贈与は、Aさんとの契約ですから、お二人で十分よく話し合い、愛犬の世話をする方法について、納得のいくような内容を取り決めることができます。双方お二人の合意があって、初めて成り立つ契約ですから、Aさんの承諾が得られます。その点、遺言よりは確実なものとも言えるかもしれませんね。

 

 3.死後の事務委任契約をする。

 これは、Aさんに愛犬のお世話を委託する方法で、その際、事務委任契約書を作成します。契約書の作成は義務ではありません(諾成・不要式契約)が、書面化しておくことで、後々のトラブル回避が可能です。

 お世話をお願いしたいあなたが「委任者」、お願いを受けるAさんが「受任者」として、委任契約書を作成、締結します。

 委任契約書の内容の一例(一部)を以下に紹介します。

 

1)愛犬の飼育事務をあなたが委託し、Aさんがこれを受託した。

2)Aさんは、その生涯にわたり、誠意を持って飼育しなければならない。

3)飼育に要する費用の支払等については、契約時に上記事務を行う際の費用として、現金◯◯万円をAさんに預託し、Aさんはこれを受領した。

4)あなたはAさんに対して、本契約の報酬として現金◯◯万円を支払い、Aさんはこれを受領した。

4.信託制度(しんたくせいど)の利用する。

 「信託」

 これも馴染みのない言葉だと思います。

 信託は、自分の大切な財産を、信頼できる人に託して、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらうとする制度です(信託法2条1項)。

 少し分かりにくいと思います。

 簡単に言いますと「あなたがAさんに頼んで,財産をAさんの名義にするから,愛犬の飼育の為に使ってね。」とすることです。あなたを「委託者」、Aさんを「受託者」、財産を「信託財産」、愛犬の飼育の為にという内容を「信託目的」といいます。あなたがAさんに頼むことを「信託行為」と言い、契約、遺言等ですることができるのです。

 いくら信用しているからと言っても、Aさんの飼育が適切かどうかは心配ではあります。適切なチェックを行い、信託を確実に履行するため、信頼できる第三者を「信託監督人」として置くことも可能です。

 

5.その他

 Aさんのような信頼できる方がいるとは限りません。

 その場合、動物病院、ブリーダー等を訪ねてみても良いでしょう。それらの中には、主人を亡くしたペットの情報を集めて次の飼い主探しを積極的に行っているところもあると聞きます。是非、相談してみましょう。

 また、同じペットやお散歩友達等のネットワークから、主人を亡くしたペットについて、安心して任せられる法人や個人の情報を得ることもあるかもしれません。

 

 結論として「信頼できる友人等の存在が不可欠である。」と、お感じになったことでしょう。

 そのためには、ペットに関する情報をまとめて残しておくことが必要です。例えば、鑑札(番号・登録など)、通院歴、病歴、予防接種歴・証明、食事の回数や種類(好き嫌い・アレルギー)、保険についての詳細・資料、血統書、かかりつけの動物病院の情報、散歩の回数、トリミング等です。

 

幸い相談者には、ペットを通じた仲間がいるとのことでした。

その方と死因贈与契約を行うという選択をされました。

 

最後には、相談者に笑顔が戻り、愛犬とお帰りになりました。

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